カシミヤの抜け毛は多いのか？

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カシミヤの抜け毛って多い？

冬の人気素材であるカシミヤニット製品は、抜け毛が多いのでしょうか。
こちらの記事では、カシミヤ製品の抜け毛に関しての疑問についてお答えします。

本記事を要約すると、以下の通りです。

• カシミヤの抜け毛は少なからず発生する
• 抜け毛の量は心配するほど多くない
• 良質な製品を購入し、日々のお手入れをすることで抜け毛は減らせる

それぞれを詳しく解説いたします。

カシミヤ素材について詳しく知りたい方は、「「繊維の宝石」カシミヤ素材について」の記事をご覧ください。

カシミヤ毛は抜け毛があるのか

カシミヤのみならず、あらゆる獣毛素材で抜け毛は発生します。
その中でもカシミヤ素材に抜け毛が発生する要因として、主に以下の２点があげられます。

• 風合いを活かすため
• 毛羽立ちが多いため

風合いを活かすため

カシミヤは滑らかで柔らかい素材特性を活かすために、あえて糸の撚り（より）を甘くしている製品が多いです。

撚りとは、糸を作るときに１本の糸に、別の糸をねじり合わせる作業のことです。（下図参照）

原糸(生糸)は非常に細く扱いにくいので、撚りをかけることで一本の糸にします。イラストでは分かりやすいように、赤い原糸に青い原糸をねじり合わせています。

強く撚れば強度や耐久性は増しますが、風合いがなくなります。
反対に、甘く撚れば風合いは増しますが、強度や耐久性は減少します。

セーターやストールなどのニット製品は、素材の柔らかな風合いを活かすため「甘撚糸（あまよりいと）」が採用されます。
これが、抜け毛を発生させるひとつめの要因です。

毛羽立ちが多いため

もうひとつの要因は、毛羽立ちしやすいカシミヤ素材の特性にあります。

カシミヤは獣毛繊維の中でも細くて滑らかな肌ざわりを持っています。
しかし、外部からの力に弱く、糸が毛羽立ちやすく毛玉もできやすいため、摩擦などに注意する必要があります。

毛羽立ちや毛玉ができるということは、繊維がすり減っている状態であり、繊維が編み地から抜けていることを意味します。

どのくらい抜け毛の量があるのか

では、カシミヤ繊維はどのくらい抜け毛が多いのでしょうか。

実は、心配するほど抜け毛は多くありません。

実験で獣毛素材別に一定の圧力を与えたところ、脱落率は以下の通りでした。

獣毛	脱落率
アンゴラ（高率混）	4.7％
アンゴラ（中率混）	4.3％
アンゴラ（低率混）	2.3％
アルパカ	2.2％
モへヤ	1.9％
ラムウール	1.2％
カシミヤ	1.1％

参照：アンゴラを中心とした獣毛素材の毛羽発生機構｜池田 善光, 小林 敏信, 遠藤 晄, 小林 かほる　 繊維製品消費科学 30(11)

カシミヤは獣毛繊維の中でも、抜け毛が少ないです。
ただし、上述のとおり、毛羽立ちや毛玉によって抜けることが多いので対策が必要です。

抜け毛を減らす方法はあるのか

カシミヤ繊維の抜け毛を減らす方法をいくつかご紹介します。

毛羽立ちや毛玉を抑える

それには、日頃のケアが大切になってきます。

カシミヤは日常的なお手入れとして、着用後のブラッシングが必要です。

ブラッシングをすることで、毛玉の原因となる花粉やほこりなどの汚れ、静電気、毛並みの悪さを整えることができます。
ブラッシングをする際は、一定方向のみに動かすのがコツです。

カシミヤ製品のお手入れ方法について詳しく知りたい方は、「カシミヤセーター・マフラーのお手入れや正しい洗濯方法」の記事をご覧ください。

一度着用したら数日は休ませる

カシミヤに限らず、ウールやアルパカなどの獣毛素材は、一度着たら数日は休ませてください。

連日のように着用すると、摩擦や静電気によって毛羽立ちや毛玉ができやすく、繊維の寿命を縮めてしまうからです。
１日着用したら、少なくとも１日、できれば数日は休ませるようにしてください。

信頼できるお店で購入する

カシミヤ製品を購入する際は、信頼できるお店で購入することがなによりも大切です。
品質の良いニット製品を選ぶことは、抜け毛を防ぐのに最も有効な手立てだからです。

セーターやカーディガンなどのニット製品は、カシミヤ繊維を選定し、撚りや編みといった工程を経て製品となります。
カシミヤ繊維自体のクオリティや、撚りや編みの技術が低いと抜け毛が多くなるため、製品そのものの品質が抜け毛の少なさに関わってきます。

ですから、カシミヤ製品作りに対して誠実に向き合うような、信頼できるお店選びが必要です。

まとめ

カシミヤは、抜け毛に関して直接的な心配をする必要はそれほどありません。
ただし、しっかりと作られた製品を購入することと、日頃のケアを忘れずに行うことが抜け毛対策には重要です。

カシミヤは非常にデリケートな素材なため大切に扱う必要がありますが、そうすることで何年もその風合いを楽しむことができます。
カシミヤ製品を購入したら、何年も着られるように大切に扱ってください。

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