ベビーアルパカとは ~特徴やアルパカとの違い~

2019/12/23

アルパカ毛(アルパカ繊維) ベビーアルパカ

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はじめに

アルパカについて調べていると「ベビーアルパカ」や「ロイヤルベビーアルパカ」という言葉を目にすると思います。

「ベビーアルパカ」「ロイヤルベビーアルパカ」は、世界で最も贅沢な繊維のひとつとして知られていますが、なんとなく良さそうに思っても具体的に何がいいのか、知らない人も多いはず。

こちらのページでは「ベビーアルパカ」「ロイヤルベビーアルパカ」と「アルパカ」の違いについて、輸入から販売まで携わるその道のプロが解説いたします。

アルパカの生態について詳しく知りたい方は、「意外と知らないアルパカの性格・寿命・生息地などの生態を徹底解説」の記事をご覧ください。

ベビーアルパカとは

ベビーアルパカは赤ちゃんアルパカという意味ではなく、繊維としての名称です。

間違えないで欲しいのは、「ベビーアルパカ」や「ロイヤルベビーアルパカ」は、アルパカの赤ちゃんから採取した毛ではない、ということです。

アルパカは主に南米ペルーなどアンデス山脈の高地で牧畜として飼われていますが、アルパカの毛は生涯にわたって伸び続けるため、夏の暑さで体調を崩さないように毛刈りが行われます。

そして刈られた毛は衣類などの繊維として使われますが、それらの毛を太さによってランク分けします。

その時に使われる名称が、「ベビーアルパカ」や「ロイヤルベビーアルパカ」になります。

アルパカの毛刈りについて詳しく知りたい方は、「まるで別の生き物!? 衝撃的なアルパカの毛刈りについて【画像・動画あり】」の記事をご覧ください。

ベビーアルパカとアルパカの違いは繊維の細さ

上述のように、「ベビーアルパカ」「ロイヤルベビーアルパカ」はおよそ生後3カ月までのアルパカから採取したものと勘違いされている方がいらっしゃいますが、大人のアルパカからも全体のおよそ10%前後採取することができます。

「ベビー」という名称もそうですが、一般的に、アルパカは大人になるにつれて、毛は少しずつ太くなる傾向にあり、赤ちゃんの毛からたくさん採取できるのでそうした誤解が広がったのだと思われます。

実際は、繊維の細さによってランク分けされたアルパカ素材(つまり繊維)の名称であるということです。

アルパカ素材は、次のようにランク分けされています。

繊維名 繊維の細さ
ベビーアルパカ ロイヤルベビーアルパカ(Super baby) 20.0ミクロン
(0.020ミリ)以下
ベビーアルパカ(Baby) ベビーアルパカ(Baby)
20.1~23ミクロン
アルパカ ファイン(Fleece) 23.1~26.5ミクロン
(0.0231~0.0265ミリ)
ミディアム(Medium Fleece) 26.6~29.0ミクロン
(0.0266~0.0290ミリ)

※参考:AIA(Asociacion Intermacional de la Alpaca,OCEX New York and PROMPERU)
※繊維名については別の呼称もあります。

ロイヤルベビーアルパカの特徴

(ワカイヤ種の)アルパカ毛の中で最も高価なものが「ロイヤルベビーアルパカ」になります。
(スーパーベビーアルパカともいわれます)

ロイヤルベビーアルパカは、アルパカの背中や首もとから採取できます。
肌ざわり、柔らかさはアルパカ毛のなかで群を抜いており、世界中で人気素材となっているアルパカのなかでも、もっとも手に入りにくいランクとされています。

アルパカとベビーアルパカの比較

具体的にアルパカとベビーアルパカは何が違うのでしょうか。

アルパカとの比較を項目別にまとめてみました。

アルパカとベビーアルパカの素材比較

アルパカ素材とベビーアルパカ素材を項目ごとに評価してみました。

保温性
アルパカ ◎ 空気を含むので断熱効果が高い
ベビーアルパカ ◎ アルパカよりも断熱効果が高い

耐久性
アルパカ ◎ 丈夫で長持ちする
ベビーアルパカ ◎ 繊維は細くても耐久性はアルパカと同等

チクチク感
アルパカ △ 人によってややチクチクする
ベビーアルパカ ○ チクチク感はほぼ感じない

肌ざわり
アルパカ ○ すべすべしている
ベビーアルパカ ◎ しっとりとすべすべしている

汚れにくさ
アルパカ ◎ 水や臭いを寄せ付けにくい
ベビーアルパカ ◎ 同上

毛玉のできにくさ
アルパカ ◎ 毛玉が出にくく摩擦に強い
ベビーアルパカ ◎ 同上

お手入れのしやすさ
アルパカ ◎ 特別なお手入れは不要
ベビーアルパカ ◎ 同上

重量
アルパカ ○ 繊維の一本一本が空洞のため軽い
ベビーアルパカ ◎ 繊維が空洞で、さらに細いためより軽い

同じ規格のアルパカニットと比較

デザインは違いますが、同じ型紙で作ったニットで比較してみます。
左はアルパカ素材(上図のランクで「ファイン」相当)、右がベビーアルパカ素材です。

アルパカのニットとベビーアルパカのニットを並べた写真
左:アルパカ  右:ベビーアルパカ

アルパカのニットとベビーアルパカのニットで重さの比較をした写真
左:252グラム    右:170グラム

左のアルパカが重量252gなのに比べて、右のベビーアルパカは170gと約3~4割ほど軽くなっています。

アルパカのニットとベビーアルパカのニットで暑さを比較している写真

同じく、洋服の厚さを比較してみました。

こちらもベビーアルパカの方が薄く仕上がっています。
繊維自体が細いと製品も薄くなるため、着用時の煩わしさがなく軽い着心地になります。

お得感のある「ベビーアルパカ」

ベビーアルパカはお得感という意味でもメリットがあります。

アルパカ素材を原毛として購入する場合、キロ単位の重さで購入します。

その際、ベビーアルパカはアルパカに比べて軽いため、より多くの量の繊維を購入できるのです。

分かりやすく例えると、

  • 1キロ40,000円のアルパカからニット製品を作ると、出来るのは4着。一着あたりの原毛代は10,000円です。
  • 1キロ50,000円のベビーアルパカから作ると、出来るのは5着。一着あたりの原毛代は同じく10,000円です。

1kgあたりの原毛代 1kgで作れる枚数 1着あたりの価格
40,000円/kg 4枚 10,000円
50,000円/kg 5枚 10,000円
※上記は分かりやすいように説明した一例で、すべての商品にあてはまるわけではありません。

先ほどの重量比較でもご紹介したように、同じデザインのニット製品を作った場合、約3~4割ほどの重量で作ることができます。

稀少ゆえにキロ当たりの価格は高いのですが、メーカー側からするとそれほど価格差はなくなってくるのです。

つまり、同じ重さの原毛から洋服を作るとベビーアルパカはアルパカよりも多くの枚数を作ることができるのです。

ですからベビーアルパカのメリット(肌ざわり、軽さ、薄さ)を考えると、アルパカよりもお得感があると思います。

まとめ

「ベビーアルパカ」「ロイヤルベビーアルパカ」と「アルパカ」の違いをまとめると、以下の通りです。

  • 「ベビーアルパカ」は繊維の名称で細さは20.1~23ミクロン(0.021~0.023ミリ)
  • 「ロイヤルベビーアルパカ」は細さは20ミクロン以下(0.020ミリ以下)
  • ベビーアルパカは、アルパカよりも同等かそれ以上の良さがある
  • ベビーアルパカは稀少ゆえに価格は高いが、多く作れるのでお得感がある

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