アルパカ・ラマの放牧について解説

2024/11/18

アルパカについて

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アルパカ・ラマの放牧と生活

アルパカやラマ(リャマ)は、南米のアンデス山脈高地に生息する動物です。
そのほとんどが家畜化されており、野生種は存在しません。

アンデス山脈高地は気温が低すぎて作物が育ちにくいなど人が住むには厳しい環境ですが、遅くとも紀元前3,000年前からアルパカやラマの牧畜が伝統的に行われてきました。

こちらでは、アルパカやラマの放牧について説明します。

アルパカ・ラマについてより詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

なぜアルパカやラマを牧畜するのか

放牧されているアルパカの群れの写真

そもそも、なぜアルパカやラマを牧畜しているのかを説明します。
アルパカとラマは飼育する目的が異なります。

アルパカを牧畜する理由

アルパカは主に毛を採る目的で飼育されています。

アルパカの毛で作った衣料品や敷物は、お金や食料を手に入れる交易品となるからです。
アルパカの毛は、現代の国際市場においても高騰しており、貴重な現金の収入源となっています。

副次的な理由で、アルパカの糞は樹木のないアンデス高地において煮炊き用の燃料になります。

また、主食ではないですが、アルパカの肉を食べることもあります。
そのときは、骨や血、内臓まで余すことなく活用します。

ラマを牧畜する理由

ラマは体が大きく高山病にかかりにくいという特性を生かし、高地で荷物を運搬する目的で飼育されています。

例えば、アンデス高地で作られた作物(トウモロコシやジャガイモ)を畑から農家まで運搬を肩代わりすることで、その報酬として現金や食料を得ることができます。
その際、収穫後のトウモロコシの皮をラマに食べさせて、糞を肥料として土にかえすこともしているそうです。

また、アルパカと同じく、毛や皮は衣類として、肉は食用として、糞は燃料としても利用しています。

ただし、近年は交通インフラなどの整理により運搬役としての需要が薄れ、ラマは年々頭数が減っているという報告があります。

アルパカ・ラマの放牧について

放牧地で牧草を食べるアルパカの群れの写真

アルパカやラマを放牧する大きな理由は、彼らの水やエサとなる牧草を食べさせるためです。
基本的に放牧は毎日行われます。

放牧の際のポイントとしては、

  • 牧草や水を確保できる場所を選ぶこと
  • オスとメス(子ども)を必要に応じて分ける
  • 他の牧民の群れと混ざらないように最大限注意する

などがあります。

オスとメス(子ども)を分ける理由は、アルパカに遺伝的改良を施しているからです。

これは、質の良い毛がたくさん採れるアルパカ同士を交配させるなどして、良質な毛の収穫量を増やす目的で古くから行われてきたことです。

オスは発情すると囲いから脱走してメスと勝手に交配することがあるそうなので、できうる限り管理します。

放牧の具体例

あるアルパカ飼育者の一日をご紹介します。

  • 4:00 起床
  • 5:30 食事
  • 7:40 放牧へ出発
  • 8:00 放牧地に到着
  • 12:00 昼食
  • 15:30 家畜が家の方へ向かい出す
  • 16:30 帰れる人は帰宅して夕食準備
  • 18:00 群を集めて囲いの中に集める
  • 18:30 夕食
  • 19:30 就寝

群れは太陽が昇りだすと、牧草を食べたいがために囲いの外に出始めます。
群れが分散しないように注意を払いつつ、急いで朝食をすませて放牧にでかけます。

放牧地候補は複数ありますが、草の生育状況や他の群れが近くにいないことを確認しながら、家からおよそ1〜1.5km程度の場所で行います。

放牧地に到着すると、群れはおもいおもいに牧草を食べ始めます。

午後になると群れは少しずつ家の方向に向かい始め、牧草を食べつつ戻ろうとします。
特にアルパカは帰巣本能が強いため、この傾向にあるそうです。

日が傾くと帰巣スピードが速くなりますが、なるべく牧草を食べ続けさせたい飼育者は家に戻ろうとする群れの進行を妨げます。

家の周辺に戻ってもなるべく牧草を食べ続けさせ、日が暮れる頃に群れを囲いに戻し一日の放牧が終わります。

放牧中に関するあるある話

アルパカやラマを放牧する際のあるある話もご紹介します。

  • アルパカやラマなどが寝床にする場所は屋根がなく、囲いは完全に閉じていないことが多いそうです。完全に閉鎖しても、囲いを飛び出して外に出てしまうこともあるのがその理由です。したがって、朝方は牧草を求めて囲いから出てしまっているものもいます
  • 目的の放牧地まで群を移動させるのは難しく、とくに群れが分散することがあるのでとても苦労するそうです
  • 放牧は、羊も一緒に連れて行くケースがあるそうです
  • 放牧中に自分の群れから離れて他の群れにまぎれてしまう個体がいて、その場合は取り返しに行く必要があります
  • 夜の間にキツネが家畜を狙いにくることがあり、対策として犬を飼っている世帯もあります。とくに子どもはキツネに襲われる可能性が高いので、注意が必要です
  • 放牧は自然環境に左右されやすく、2022年11月には寒波によってエサとなる牧草が凍結し、多くのアルパカが餓死するというショッキングなニュースがありました(https://www.yahoo.com/news/least-500-alpacas-die-following-230907358.html
  • 放牧生活はとても厳しく退屈なため、若者は跡を継がないケースも増えてきているそうです。牧夫を雇ってその役割を任せ、自身は全く放牧に関わらないという飼育者もいます

参考文献

  • 熱帯高地の世界|山本紀夫編(ナカニシヤ出版・2019)
  • 非搾乳論考:搾乳には進まなかったリャマ・アルパカ牧畜民と家畜の関係性|文化人類学(82巻2号 2017年)日本文化人類学会
  • 中央アンデス高地ペルーにおけるアルパカの「遺伝的改良」と種畜の取引|佃 麻美(年報人類学研究第4号)

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この記事を書いた会社
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略称 I・E・I(アイ・イー・アイ)

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