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はじめに
入浴にはさまざまな効果がありますが、特に疲労回復や冷え解消に役立つことが分かっています。
こちらでは、「疲れ」と「冷え」を取り除く効果的な入浴方法をご紹介します。
それらにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
疲労や冷えを取り除くには
疲れや冷えを取り除くには、血流促進と体を温かく保つことがポイントです。
なぜ疲れにも冷えにも血流促進が大事なのかというと、血液は以下のものを運搬する役割があるからです。
- 酸素
- 栄養素
- 老廃物
- 水分
- 生理活性物質
- 免疫物質
- 熱
疲労回復には血液の促進が大切
血液中に老廃物の一種である疲労因子(Fatigue Factor=FFと呼ばれるたんぱく質)があると、肉体的にも精神的にも疲れを感じやすくなることが分かってきています。
この疲労感を取り除くには、疲労因子を取り除いて休息することが必要です。
疲労因子は、血液循環を促すことにより体全体から回収することができます。
ですから、血液促進が重要です。
冷えを取り除くには体を温めることが大切
一方、冷えを取り除くには体を温めることが大切です。
体は冷えを感じると、大切な器官である脳や臓器を守るために血液を集めます。
この結果、より冷えを感じます。
その冷えを解消するには、やはり血液促進が重要になります。
血液には熱を運搬する役割があるからです。
また、入浴すると温熱作用が働いて体全体を温めてくれます。
これにより、冷えを取り除くことができます。
疲れと冷えを取り除く効果的な入浴方法
疲労や冷えを取り除くには、血流促進と体を温めることが重要だと分かりました。
では、どういった入浴方法がいいのか、また、体に悪影響な入浴法があるのでしょうか。
そういった観点も含めて、疲れと冷えに効果的な入浴方法をご紹介いたします。
- お風呂の温度は38〜40℃
- 半身浴より全身浴
- 入浴時間は10〜15分。分割してもOK
- 入浴前後に水分補給
- 入浴後は体を冷やしすぎない
1.お風呂の温度は38〜40℃
熱いお風呂が好きな方もいらっしゃると思いますが、42℃以上のお風呂に入ると交感神経が活発になります。
交感神経と副交感神経の違いは以下の通りです。
交感神経 | 副交感神経 | |
---|---|---|
血管 | 縮小 | 拡張 |
血圧 | 上昇 | 低下 |
心拍 | 増大 | 減少 |
精神 | 緊張(興奮) | リラックス(休息) |
普通はお風呂に入ると副交感神経が働くのですが、42℃以上のお風呂に浸かると交感神経が活発になり、血流が悪化して疲労因子を取り除きにくくなります。
それだけではなく、かえって疲労因子が発生したり、血栓が作られたりするなど体に悪影響を及ぼします。
ですからお風呂のお湯の温度は、少しぬるめに感じるくらいの38~40℃がおすすめです。
このくらいの温度なら、体もしっかりと温まり、血流が促進されて疲労因子を効果的に取り除くことができます。
結局のところ、入浴により体温が0.5~1.5℃くらい上昇すればいいので、38~40℃で十分です。
2.半身浴より全身浴
近年は、美容やダイエットに有用と「半身浴」が流行しています。
そんな半身浴ですが、疲れと冷えを取り除くにはあまり効果的ではありません。
なぜなら、半身浴では体への温熱作用が抑制されるからです。
- 心臓に負担がかかるのを避けたい人
- 全身浴で息苦しさを感じる人
- 長くお風呂でリラックスしたい人
体調に問題がない場合、全身浴で体全体を温めるようにしましょう。
3.入浴時間は10~15分。分割してもOK
冷え取りやリラックス目的で何十分も入浴する人がいます。
しかし、疲れと冷えを取り除くのであれば、10~15分くらいの入浴で十分に体が温まります。
10分間の入浴を5分ずつに分割しても問題ありません。
- 肌の乾燥
- 心臓や肺への負担が大きくなる
- 脱水症状の危険
お風呂に長時間浸かっていると、お肌を保護する皮脂や保湿成分が流れ出ます。
その結果、お風呂上がりに肌のつっぱりやカサカサを感じます。
敏感肌やアトピー性皮膚炎の方は、血行が促進される影響でかゆみも増すので、長すぎる入浴はおすすめできません。
4.入浴前後に水分補給
忘れがちですが、入浴中は体の水分が失われがちです。
ある調査によると入浴で800㎖もの水分が失われることもあるのだとか。
入浴中に体から水分が失われることは確かですので、入浴の前と後にコップ1杯程度の水分補給をするようにしましょう。
たかが水分と思いがちですが、体から水分が不足すると血液の粘度が高まり、いわゆるドロドロとした血液になります。
加えて、血管が拡張しているので血圧は低下して、血液の流れが悪くなります。
そうすると、疲労因子を回収したり体中に熱を運んだりする効果が弱まりますので、疲労と冷えを効率よく取り除くことができなくなります。
5.入浴後は体を冷やしすぎない
人の体は、深部体温がゆっくりと下がると眠気が起こるようになっています。
入浴後に体温が下がったタイミングで入眠するようにすれば、心地よく眠れることができます。
特に、質の高い睡眠は寝入りの3時間にどれだけ深く眠れるかがポイントになっているそうです。
このため、急激に体を冷やす=湯冷めするようことは避けましょう。
疲労を取り除くには休息(睡眠)がとても大切ですので、しっかりと寝つけるように湯冷めには十分注意してください。
夏に向けて熱中症の予防効果も
暑さに慣れるためには、
暑熱順化とは、暑い環境に身体が適応することです。
暑熱順化ができていないと、熱中症になりやすくなります。
では、暑熱順化のためにはどうすればいいでしょうか。
答えは汗をかくことです。
人間の身体には、汗腺という汗を分泌する器官があります。
汗腺は300~600万個もあると言われていますが、普段から機能しているのは230万個程度だそうです。
汗腺の数が多ければ多いほど、汗をかきやすくなります。
汗腺を増やすには、定期的な運動習慣が必要ですが、なかなか行えることではありません。
そこで、簡単な汗腺の数を増やす方法があります。
それが「入浴」です。
入浴すると、身体が温まって汗腺が活性化します。
10~15分ほどお風呂に入るだけで、汗腺の機能は十分に高まります。
汗腺の機能が高まれば、体温を下げる能力も上がります。
これが熱中症の予防につながります。
ちなみに、汗腺の機能が高まると、水分の多いサラサラした汗をかけるようになります。
このような汗は、体臭予防にも効果的です。
このように、入浴は夏に向けてたくさんのメリットがあります。
ぜひ毎日の習慣にしてください。
まとめ
「疲れ」「冷え」を取り除く効果的な入浴方法をご紹介しました。
入浴の習慣があるのは、世界でも日本人だけといわれています。
- 幸福感が高まる
- (※)自立度が高まる(要介護になりにくい)
(※)入浴習慣と要介護認定者数に関する5年間の前向きコホート研究|日本温泉気候物理医学会温泉療法医会
こちらでご紹介した入浴方法を守り、日々体をメンテナンスしてあげてください。
参考文献:
- たった1℃が体を変える : ほんとうに健康になる入浴法 |早坂信哉(角川フォレスタ)
- 入浴検定公式テキスト : お風呂の「正しい入り方」|早坂信哉, 古谷暢基(日本入浴協会)
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